明石・魚の棚をもっと知りたい、楽しく歩いてみたい……情報紙
海から食卓へ、おいしい魚が届くまで
明石の魚はおいしい。そのおいしい魚はいったいどんな風にして私たちの食卓にやってきたのか、漁ってどんな風に行われているのか、見てみた〜い!ということで、今回は漁師さんの協力のもと漁船に乗り込み、普段見ることのできない漁業の現場を、取材させていただきました!
底引き網漁

午後2時出航
 戎本さんが行っているのは小型底引き網の中でも「チンこぎ」と呼ばれる漁。網に付いているチェーンのことを明石・淡路の漁師言葉で「チン」といい、それを引いて船を漕ぐので「チンこぎ」と呼ぶ。機械化や道具の改良が進み、明石浦では底引き網は1人で行う船が多い。

漁師「「ずっと轟音の中で仕事をしてるから漁師は声が大きいし、耳が悪い人も多いねん」
リポーター「すごいエンジン音!
何しゃべってるのか聞こえない〜」

午後2時半漁場に到着・網を下ろす
 漁場は明石と淡路の間の海域に行くことが多い。まず探知機で海底の様子を調べ、勘を頼りに、船体後ろにある網を下ろしていく。網についたチェーンがカランカラン…と音をたてて海中へと沈む。


リポーター
一歩間違えば網とともに海へ落ちてしまいそうで、見てるだけでもヒヤヒヤ。
漁師さんの仕事はやっぱり命懸け!



どんな魚が獲れるかワクワク〜
30〜60分間船で網を引く
 海底まで網を下ろしたら、船をゆっくりと走らせる。水深は浅くて5メートル、深いと130メートルに及ぶという。海底の状態に合わせて速度を調整しながら、1回1〜3キロメートルほど網を引き、30分〜60分で網を上げる。網を上げてはまた下ろして引くという作業を10〜15回繰り返す。

網を引き上げる
ひと網でイカが数杯、手の平大のカレイが3尾、タコが4〜5杯、カサゴが2〜3尾、アナゴが少し…という具合。せり網を上げるたびに、獲れた魚を選別し、商品価値のないものは海に返す。潮が悪く、これは少ない方。気がつけば辺りは真っ暗、他の漁船の明かりと、明石・淡路の町明かりが遠くに灯る中、漁師さんはひとり黙々と作業を続ける。

漁師「たとえばカレイが50枚入っていることもあれば、 まるで収穫なしということもある。
バクチみたいなもんやで! 」

網を下ろす上げる作業を黙々と続け、
水揚げ量を増やしていく。

午後3時帰港
帰港は日が変わった午前3時

1人操業の制限時間である13時間以内で引き上げ、港へ帰る。獲った魚はプール(活けす)に入れ、昼のせりに備える。
底引き網で獲れる魚種…
目板ガレイ、ヒラメ、ガシラ(アカメバル)、タコ、アナゴ、シタビラメ、マコガレイ、アブラメ(アイナメ)、ベラ、イカ、エビ、オコゼ。


狙う魚によって違う漁場・仕掛け…
狙う魚種によって魚のいる場所が違う。海底の状態や潮の流れで狙う魚のいる場所を読み、その魚種に合わせた仕掛けや網を使う。

明石浦の特権はお殿様の権力の名残?!
 明石浦漁協の地先(じさき・漁業権)は、明石川から朝霧にかけて。これは比較的狭いほうで、代わりに他の漁協の地先でも漁ができるように協定を結んでいる。明石浦は「新浜」の別名にも象徴されるように、江戸時代に城下町に新しく造られた港。当時のお殿様の権力で他の漁場にも入れるように取り決めがされ、今もその名残としてそのような協定があるそうだ。

取材協力●「戎嘉(えびすか)」戎本裕明さん <底引き網漁>●「中和(なかかず)」中谷正男さん <一本釣り漁>●「かね福」井上夫妻 <底引き網漁の港での作業>●明石浦漁業協同組合
 漁に同行させてもらったのは明石浦漁協の漁師である戎本さん(底引き網)、中谷さんの船(一本釣り)。2人とも9〜5月の間は海苔の養殖を行い、6〜8月の3ヶ月間のみそれぞれの漁を行っています。その漁の腕は仲間の間でも定評があり、また手作りのおにぎり販売やレストラン運営を行う若手漁師グループ「AFAR(アファー)」でもリーダーとして活躍中です。
 
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