せりまでもうひと仕事、
ここからは妻の出番。
まだ薄暗い午前3時、船が港に着いてもまだまだ仕事は続く。船が着く時間に合わせて港で待ちかねているのは漁師の妻だ。今では携帯電話が普及し、到着時間を知らせられるようになったが、以前は前もって約束した時間まで港で待っていなくてはならず、大変だったそうだ。
魚を水揚げした後、港での作業は妻の仕事(夫は次の漁に備えて家に帰り、睡眠をとる)。船上で種類別に分類された魚を、さらに大きさで選り分けてカゴに入れていく。そのカゴを明石浦漁港に設置してある水槽に沈め、せりの時間まで活かしておく。水槽に入ってていねいに魚を選り分けていく作業は大変な仕事だが、せりで少しでも良い値で売るためには欠かせない。このようにして、漁師の仕事は夫婦(または一家の男女)の共同作業によって成り立っている。命懸けで船を出す夫、そしてそれを支える妻、それぞれの苦労があるのだ。