明石・魚の棚をもっと知りたい、楽しく歩いてみたい……情報紙

魚の棚と言えば「昼網の魚」
  魚の棚商店街と言えば鮮魚店での店先で「昼網の魚」。豊富な魚介の産地でありながら、魚の棚商店街や神戸・大阪など大量消費地を控えている明石。その地の利とこれまでの歩みの中で、昼市という独特のスタイルや、小売店が直接せりに参加できる全国でも特異な流通形態が誕生しました。水揚げされたばかりの魚が生きたまま売買され、そのまま超特急で小売店へと運ばれる、だから魚の棚ではピチピチ跳ねる魚や歩き回るたこが見られるのです。

昼市が行われる2つの港
 昼市(昼網のせり)が開かれているのは主に2ヶ所。魚の棚のすぐ南、明石港の端にある「明石市公設卸売市場水産部分場(以下、分場)」と、もう少し西、明石川寄りにある「明石浦漁業協同組合(以下、明石浦漁協)」です。鮮魚店の中にはどちらか一方でしか仕入れないところもあれば、両方で買い付けるところもあります。それぞれの特徴を下記にご紹介します。

すべてが昼網もの、ではない
 魚の棚商店街で販売されている鮮魚がすべて明石の昼網ものというわけではありません。明石浦漁協の昼網もの、卸売市場分場の昼網もの、あるいは全国から卸売市場に集まる多彩な魚介もあります。ほとんどが明石の昼網ものという店もあればその逆もあり、各店がそれぞれのこだわりと判断で商品を構成しているのです。自分に合う店をみつけ、顔なじみになるのも、魚の棚での買い物を上手に楽しむためのコツです。

昼網と一般的な
流通ルートとの違い
●昼網の流通ルート
昼のせりで小売店が直接買い付ける、という独特のスタイルは全国でも珍しい流通形態。産地と消費地の近さによって実現している。
漁師

昼市

小売店

一般消費者・飲食店


●一般的な流通ルート

全国の産地から、市場と業者を介して消費者へと届けられる。昼網の流通ルートに比べると、時間も流通コストも余分に必要。
漁師

産地市場

仲卸業者

荷受業者

消費市場

仲卸業者

小売店

一般消費者・飲食店

●卸売市場分場のせり
明石市公設地方卸売市場水産部分場 <開始時間>午前11時半〜 <せり人>大水明石の社員(荷受会社)
せりの特徴
明石を中心に、垂水や淡路、室津までの漁師が水揚げしたばかりの魚介を持ち込み、生きたまま、または今締めたばかりの魚をトロ箱に入れてせりが行われる。畳三枚分ほどの木の台(斜面になっている)を囲んで、魚の品定めをする。せり人のかけ声に応じて、買い付け人は一斉に指の形で希望価格を示し、一番高い値を付けた人が落札。同じ値を付けた場合はじゃんけんで決める。


せり人

荷受会社の利益は売り上げた分の歩合になるから、少しでも高く売りたいのが本音ですよ。みんなが欲しがるものは出し惜しみするし、水揚げがたくさんあるものは残ったら困るからまとめて売る。1尾2尾で売ったり、トロ箱2枚、3枚で値を付けたり、うまいこと判断して売らなね。

買い付け人
絶対量は明石浦漁協に比べて少ないものの、魚種が豊富。間近で魚を見たり触ったりして確認できるし、値段がせり上がることはなくて一発勝負やから、うまくいけば良い魚が安く買えることもあるね。少人数でせり台を囲んで、冗談を言ったり茶化したり、それも駆け引きのうちで、ゲーム感覚の楽しさもある。せりの状況は毎日違って、そこに怖さも面白さもあるね。
 
 
”明石発“ラベルができました
明石水産物卸売連合会では2007年の4月より、明石市場から出荷される水産物に”明石発“のロゴ入りラベルシールを入れています。新鮮でおいしく、安心、安全な明石の魚のブランドをアピールするのが狙いです。皆さんも鮮魚店の店頭で見かけることがあるかも?

●明石浦漁協のせり
明石浦漁業協同組合共販所 <開始時間>午前11時半〜 <せり人>明石浦漁協の職員
せりの特徴
せりにかけられる魚介は明石浦漁協に所属する漁師が持ち込んだものだけ。生け簀から引き上げた魚介を、生きたまま素早く売買する。階段状になった大きな台に何十人もの買い付け人が立ち、せり人が声で発する符丁(独自の値段表現)に応じて、せり台を通過していく商品をひと目で判断しながら、手の合図で値段交渉したり、意思表示を行う。
せり人
たくさんの人が一斉に手で出す表示価格を見落とさずにチェックせないけません。納品時間が決まっているスーパーや、少しでも早く店頭に並べたい魚屋さんのために、速く確実にせりを進めるのがせり人の役割。何と言ってもスピードが大事、体力勝負です。



買い付け人

明石浦は漁協に所属する漁師が多いから、出てくる魚の量も多い。せやからせり時間は1〜2時間かかる。時間が長い分、せりの初めと中程、終盤とでは同じ魚でも値が下がってくる。どの時点でどれだけ買うかは買い付け人次第やけど、遠くまで運ぶんやったら多少高い値でも早い時間にせり落とさなあかん。その点、魚の棚は近いから、終盤の方で安くたくさん仕入れることもできる。


※明石浦漁協は関係者以外立ち入り禁止です。
  
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