松谷 今日はざっくばらんにお願いします。まず魚屋の現状から。
藤原 数年前と比べて小売りの売り上げはガタガタです。うちは得意先が何軒かあるから何とかもってるけど、お客さんは減ってる。
松谷 まあ確かに魚の棚の現状は厳しいです。原因の一つはライフスタイルの変化が大きいと思う。今は働きに出る女性が多くて、帰りが4時、5時になれば商店街へは来にくい。便宜性を求められると、どうしてもスーパーに流れてしまうという部分があると思う。
戎本 スーパーの魚が売れるんやったら、入り込む隙はあるはずや。子どもを含めて地元の人間に、明石の旨い魚を食べてもらわないかん。旨い魚と旨くない魚、食べ比べて知ってる人やったら旨い魚を選ぶことができる。そうやって大きい流れを作らな。
松谷 魚の棚の魚屋と言っても、すべてが明石もんというわけではなく、もちろん他からも入ってくる。明石もんVS他地域の魚という競争もある。そやけど養殖もんや他地域の魚ばっかり売ってたら魚の棚が魚の棚でなくなってしまう。やっぱり昼網もんを優先的に考えていきたいけども、店によって考えが違うし強制はできへん。
戎本 魚の棚は明石もんだけで勝負するわけにはいかんのやろか。
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松谷 (明石もんはいろいろあるけれども)値段もそこそこで安定供給できると言うたら今はメイタ(ガレイ)とイイダコぐらいしかない。現実問題それだけでは商売にならない。
中谷 無いなら無いなりに他所のもんも並べるとして『こっちが明石のもん』いうのを明確にわかるように示してほしい。明石では今これしか獲れてない、とお客さんにはっきり伝えて。ほんなら魚の棚はホンマの明石もんやな、という風になるんちゃうかな。
藤井 たとえば明石のもんと、もうちょっと西で獲れるもん、どう違うんやろか。そこまで明石もんにこだわる意味はあるんやろか? |
松谷 確かに明石もんには力があって、手頃な値段やったら売れる。漁師さんは高く売りたいと思うけど、やっぱり値ごろがあるんです。最終的に決めるんはお客さんやから、買うてもらえる値段でなかったらあかん。