明石・魚の棚をもっと知りたい、楽しく歩いてみたい……情報紙

明石では日常的なおやつ、軽食として食されてきた「明石焼(玉子焼)」も、今やすっかり明石名物のひとつとなりました。魚の棚商店街には今年の春までに5軒の明石焼(玉子焼)店がありましたが、この夏さらに3店が誕生しました。強豪店がしのぎを削る魚の棚に参戦した新店と、魚の棚の明石焼の歴史をご紹介します。 

明石焼or玉子焼
なんで2つも呼び名があるのん?
 丸くてふわふわ、美しいちりめん模様に焼き上げた中に、具はタコのみというシンプルなあの味。地元の人たちの間では「玉子焼」の名に愛着を感じる人が多いですが、市外では「玉子焼」という呼び方は、卵を塩や砂糖で調味して四角いフライパンで焼く「卵焼」と混同されやすく、「明石焼」という呼び名の方が伝わりやすいようです。この呼び方はいつ、どこで始まったか定かでありませんが、大阪のたこ焼きと似て非なる明石独特の「玉子焼」を、他所の地域の人が呼び始めたものではないでしょうか。地元では変わらず「玉子焼」で通っていたところ、昭和62年に明石市の職員が「玉子焼を明石の名物”明石焼“としてもっとアピールしよう」と提案したことから、お店でも「明石焼」と名乗るところが増えました。




食べ比べ大歓迎!
同じ明石焼でも、各店によってだしや焼き油など味はさまざま。各店の紹介に添えた「明石焼memo」を参考に、それぞれの個性を楽しんで食べ比べてみてください。テイクアウトは全店OKです。
どこが旨いかって?
自分の舌で確かめるのが一番!
 明石の明石焼の発祥は古く、はっきりとはわかっていないのですが、”タコを入れる“というアイディアは大正時代に樽屋町あたりで玉子焼屋台を始めた向井清太郎氏の考案と言われています。この「向井流玉子焼」の流れを汲んでいるのが、19年前に東仲ノ町から魚の棚商店街に移転した「よこ井」。今では熱いつけだしを添える店が多い中、「だしは本来、焼きたての明石焼を冷ますためだけのもの」と薄味の冷たいだしを添えるスタイルを通しています。
 現在ある明石焼店のなかで、魚の棚商店街での営業開始が最も早かったのは「よし川」。創業40年を迎えた老舗だけに「明石焼といえばこの味」という馴染み客も多く、代は替わってもそのおいしさは健在です。
 以後もいくつかの明石焼専門店が開店しては閉店、移転をするなか、それぞれに個性を出してしっかりとファンを獲得してきたのが「あかまつ」「たこ磯」「とり居」です。以上5軒については中面で紹介していますので、新しい3軒と合わせて食べ歩きを楽しんでみてくださいね!

※以下の資料を参考にさせていただきました。
熊谷真菜「たこやき 大阪初おいしい粉物大研究」講談社文庫・小野政種「たこ焼きのルーツは玉子焼『向井流玉子焼』秘伝探求」冊子

楽々
TEL (078)912-4566
11:00〜18:00
火曜定休
(祝日の場合は営業)


明石焼memo
1人前(大玉10個500円)
つけ出汁/真昆布(温)
薬  味/三つ葉
焼き油/サラダ油
 板 /朱塗り

コ天やおにぎり、
浜の味を大玉の明石焼と一緒に。
 明石焼店の経験がある田中さんが、明石浦の漁師家庭の主婦・若松さんと二人三脚で新たに始めた店。明石焼は大玉で、とろーっと口の中にとろけるようなやわらかな生地が特徴。具のタコも大きく、毎日店内のキッチンでゆで上げているので、新鮮で旨味たっぷりだ。また、カリッカリの衣がビールのあてにぴったりのタコ天や、タコ飯・鯛飯で作ったおにぎりなど、明石焼とともに明石の「浜の味」を堪能できるのがうれしいところ


店主・田中夏子さん
先々代から戦後、履物屋「つるや」として長く営業してきましたが、今回、明石焼の店として再スタートを切りました。味では負けないつもりですから、どうぞ他店と食べ比べてみてください。明石焼を家族みんなで分け合って、大人はタコ天とビール、子どもはソフトクリームと、ワイワイ楽しんでください!

タコ天500円、おにぎり2個300円

間口は狭いが入るとカウンターとテーブル計29席がある


あかし多幸
TEL (078)911-2241
11:00〜19:00
木曜定休


明石焼memo
1人前(15個)600円
つけ出汁/天然利尻昆布、
     カツオ(温)
薬  味/三つ葉
焼き油/オリーブ油
 板 /朱塗り
その他/醤油、一味、抹茶塩

明石焼と鯛茶漬を2人で半分ずつ、
なんて食べ方もOK。
戦前は鮮魚店、戦後は果物店として魚の棚商店街で代々商売を営んできた「カネト」が、屋号も「あかし多幸」として、新しい業種に挑戦。モダンな和のくつろげる雰囲気で、明石焼、鯛茶漬、たい焼が味わえる。明石焼は焼き油にオリーブオイルを使用している点が珍しく、ヘルシーで、冷めてもあっさりした味わいが保たれるのが特徴。「鯛茶漬」は、たれに漬け込んだ鯛のしっとりとした食感、凝縮された旨味が秀逸(1日10食限定)!


店主・安原宏樹さんと長男の陽那太(ひなた)くん
 せっかくの立地を活かしたくて、思い切って業種替えしました。明石といえば鯛なのに、手軽においしく鯛を味わえる店がなかったから、自分ならこんな鯛料理が食べたいというのを形にしたのが「鯛茶漬」です。明石焼には明石だこと天然利尻昆布、たい焼のあんには十勝産の小豆と、すべて食材からこだわってますよ。

鯛茶漬け1200円。
柚子胡椒やすりごまで香りも楽しんで

魚の棚の大通りが交差する角にある。 店内は24席


かねひで
TEL (078)912-2194
10:30〜18:00
木曜定休TEL (078)912-2194
10:30〜18:00
木曜定休


明石焼memo
1人前(15個)600円
つけ出汁/天然羅臼昆布(温) 
薬  味/青ねぎと三つ葉
焼き油/サラダ油
 板 /無垢板
その他/ソースあり

早くもリピーターぞくぞく。
女将さんの心意気に期待!

先代から50年以上持ち帰り専門の天ぷら店だった「かねひで食品」が、ゆったりした飲食スペースのある明石焼店としてオープンした。明石焼のレシピは全くの白紙からのスタートだったが、店主自らが好きな「今中」の味をイメージして試行錯誤を繰り返し、オリジナルの配合を作り上げたという。つけ出汁には天然の羅臼昆布のみ、生地にはサバ節のだしを加えてコクを出している。ほかに干しダコを使ったタコ飯、タコぶつなど。


店主・中村日佐子さんと長女の千純(ちすみ)さん
 3坪の小さな店でしたが、建て替えを機に奥までの広いスペースを借りることになりました。以前から販売している自家製いかなごのくぎ煮にファンが多く、「店を無くさないで」というお客さんの声や「明石焼やってみたら」という83歳の母(先代)の言葉にも背中を押されて、思い切って挑戦しました。

気前よく盛られる、タコぶつ450円

テーブルのみ22席。
車いすやベビーカーも大丈夫

  
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