明石・魚の棚をもっと知りたい、楽しく歩いてみたい……情報紙



発酵醸造食品販賣所たなか屋
田中裕子さん


昭和45年岡山市生まれ。高校生の時にアルバイト先の飲食店で、岡山商科大学の学生だった田中泰樹さんと出会う。25歳で結婚、二女一男の母。酒屋の三代目として夫婦で店を営み、昨年からは奥にある立ち飲み屋も切り盛りする。
ものを売るだけじゃない
わくわくさせる店でありたい!
裕子さんが嫁いだ当初、たなか酒店はビールを積み上げ、配達と立ち飲みを主とした酒販店だった。しかし6年前の改装を機に、夫の泰樹さんが「これからは自分たちが本当に売りたいものを売る」と宣言。屋号も改め、無添加ワインや地酒、しょう油や味噌など伝統製法の調味料を厳選して販売するこだわりの店として再出発した。
 自然食や無添加のワインにこだわるには訳がある。裕子さん自身が15歳で成人アトピーを発症し、試行錯誤しながら食事療法を中心とした生活で快復した経験を持つからだ。ていねいに添えられた商
品説明には「本当においしくて体に良いものを伝えたい」という思いが表れている。
 二代目から引き継いだ立ち飲み屋も「自分たちらしくやろう」とそれまでのイメージを払拭した。
「お酒の品質管理を徹底し、個々の方の好みを把握するように努めてます。明石の魚などを使って、すべて手作りの味でおもてなし。男女問わず本当にお酒を楽しめる立ち飲み屋が目標です」。
 カラリとした元気な笑顔で「お客さんをわくわくさせたい」と語る。ただ物を売るのではなく、好奇心をかき立てたり、新鮮な発見のある店でありたい、という意味だ。その裏には、30代の主婦の実感として魚の棚商店街に対する希望がある。「例えば魚なら鮮度はもちろん、少しの工夫でどれだけこの魚がおいしくなるか、ということを会話したい、学びたいということ。『安くて得した』ではなくて『良いこと聞けた』とうれしくなるような買い物がしたい。そんな わくわくする店 が一軒でも増えたらうれしい」。その言葉には、次の世代にも愛される魚の棚になるためのヒントが見える。


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