明石・魚の棚をもっと知りたい、楽しく歩いてみたい……情報紙

 魚の棚商店街にはたくさんの魚介が並んでいますが、全部が明石の魚というわけではありません。観光客でなくても「どれが明石の魚?」「昼網ってナニ?」そんな疑問を持っている人も多いのでは…。そこで魚の棚の鮮魚店がどんな風に仕入れをしているか、その仕組みを探ってきました。

魚の棚の魚の仕入れには大きく分けて二種類のルートがあります
 一つは一般的な鮮魚流通と同様に、全国から集まってくる魚を「明石市公設地方卸売市場(以下、卸売市場)」から仕入れるルート。早朝4時半ごろからせりが始まり、仲卸業者を通して魚の棚などの小売店へ売買され、開店時間までに運ばれます。もう一つは明石で水揚げされた魚を「明石浦漁業協同組合(以下、明石浦漁協)」から仕入れるルート。せりは午前11時半から始まり、正午過ぎごろには店頭に届くので「昼網」と呼ばれます。商店街にある鮮魚店は各々の考えでどちらのルートから何を仕入れるかということを判断しています。また、同じ店でも季節や日によって、その判断が変わります。

明石市公設地方卸売市場
卸売市場の歴史

荷受けと仲卸と小売りのすべてを兼ねていた魚の棚から、荷受けと仲卸の機能を切り離して藤江に「公設地方卸売市場」として設置されたのが昭和53年のこと。魚の棚から仲卸として卸売市場へと移った店と、小売店という立場を選んで商店街に残った店、二手に分離する形になった。現在、卸売市場には仲卸店舗が約24軒ある。
卸売市場のせり

地面に並んだ魚を囲みながら行う。事前に品物を確認しておき、せり人の「ヨッシャー、ナンボ、コウテー」というかけ声に応じて、買いたい人が手の平に収まるほどの小さな黒板に金額を書いて見せ、一番高値をつけた人が落札する。せりが終わると市場内の仲卸店舗へと運ばれる。
◆卸売市場の魚の流通ルー
卸売市場では全国各地の漁港から運ばれる天然魚や、養殖魚を扱っています。タイ、ヒラメ、ハマチ、ブリ、サーモン、マグロなどが国内外で養殖され、天然魚が少ない冬場の時期でも安定した品質、量の魚を供給することができます。最近では養殖技術が向上し、肉質や色目の良いおいしい魚が増えました。卸売市場を流通する魚は、薬品を使った場合の残留量や、海質を汚染する餌を使っていないかどうかなどきちんと検査をして安全性が確認されているので、安心して食べていただけます。※魚の棚近くに卸売市場の分場があり、ここでは昼網のせりを行っています。
株式会社菅亀
菅野照雄さん

明石浦漁業協同組合
明石浦漁協ならではの特徴
魚が生きたまま、せり直前まで水槽の中で泳いでいる。
選別などの作業を漁師の奥さんたちが行う。
魚を締める場合、特別な技術で魚の鮮度をより長持ちさせる。

明石浦漁協の歴史
昭和24年に設立、同53年にせりがスタート。それまでは漁師が各々で小売店に卸し、漁協に申告するという形だった。かつて仲卸を兼ねていた魚の棚の小売店には、せりに参加する買参権(バイサンケン)が残っているため、明石浦漁協のせりにも参加できる。結果的に明石には全国でも珍しい魚の流通システムが生まれた。

明石浦漁協のせり
階段状の台の上に並んで、次々と目の前に置かれる魚を瞬時に見極めながら「符丁」と呼ばれる指の合図で金額を提示する。一番高値をつけた人にせり人が合図し、落札。すべての作業が目まぐるしいスピードで行われる。仲買人や小売業者は魚を一刻も速く運ぶためにトロ箱を持って通路を走り、水槽を積んだトラックで運ぶ。または鮮度を保つためにその場で締めたり、活け越しにする。

◆明石浦漁協の魚の流通ルート
昼のせりで小売店が直接買い付ける、という独特のスタイルは全国でも珍しい流通形態。産地と消費地の近さによって実現している。


明石浦漁協では産地と消費地つまり魚の棚が近いために、全国でも珍しい昼網というスタイルが定着しました。そして、その良さを最大限に生かして明石の魚の価値を高める努力をしています。せり場の横で活け越し用の水槽を貸したり、魚の鮮度をより長持ちさせるために特別な締め方をしています。だから明石の昼網の魚はおいしい。魚の棚の魚屋さんには、昔ながらの対面販売の良さをなくさず、会話を大切にして、魚が好きなお客さんの心をしっかりつかんでいてほしいですね。
明石浦漁業協同組合
山嵜清張さん

用語解説
●仲卸…産地の漁協から消費地の卸売市場へ、また小売店へと売買される際の仲介役をする。仲卸業者、仲買人などと呼ばれる。
●荷受…全国から卸売市場へ集まる魚の運搬を手配する業者。
●活け越し…魚の興奮状態をしずめ、未消化物を吐かせるために1日暗い水槽の中で生かしておくこと。水揚げされたばかりで大きなストレスを受けたまま締めるよりも、この方がよりおいしくなる。

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